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山声人語 vol.6

▽何も考えずぼーっとしてる時間、そんな贅沢な時間を僕らはどれくらい持っているだろうか。通勤途中の電車を見渡すと、皆何かをしている。携帯を見たり、本や新聞を読んだり(寝ている人もいるな?)。今やTVや広告、携帯などどこにでも情報が溢れていて、意識しないと何もしないというのは案外難しいものだ。それに常に情報に触れてないとなぜだか不安になる。

▽好きな音楽を聴いてる時や、体を動かしてクタクタになった時など、身体から心が離れ、宙に漂っているような心地よい感じに身体が包まれるといった体験をしたことはないだろうか。そんな時は、何も考えていない気がする。何も考えないというのは意外と難しくて、そして気持ちいいことではないか。

▽山にいると自然と考えることは少なくなる。理由としては大きく三つ。一つ、山に登ると電波が入らないから携帯も使えないし、もちろんテレビもないので、情報は最低限しか入ってこない。二つ、険しい山道をずっと歩いていると疲れて何も考えられなくなる。最後三つ目、山は動植物で溢れている。蝉はひたすら鳴いている。鳥も鳴いたり飛んだり、時々仲間と集まってお喋りしてる。彼らは何を考えているのだろうか。人間よりもシンプルな原理で生きていることは間違いないと思う。植物は喋ることなく、ずっと同じ場所に佇んでいる。花を実らせたり、四季折々で色んな表情を見せたりするけど、それは単なる生命活動で、そこに意思があるわけではない。

▽そんなシンプルに生きている野生の動物や、健気に咲いている植物に囲まれている環境に身を置くと、不思議と何も考えないことが自然になってくる。“考えない”という贅沢な時間を過ごすには、山はうってつけの場所なのだ。人はどの生物よりも考えてきたからこそ、栄えてきたんだと思う。そして考える根底にあるのは向上心、悪く言えば現状に満足しないというのが人間の性がある。よく考えるのは人のいいところでもあるけど、考えすぎると大きな疲れやストレスにつながる。

▽たまには何も考えずにぼーっと過ごしてみよう。大自然の雄大な景色に圧倒されながら、鳥のさえずりを聞きながら、ただ心地いい時間を山で過ごそう。贅沢な時間を、山で過ごそう。


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