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山声人語 vol.10

▽槍ヶ岳、山好きならきっと一度は登ってみたいと思う山。登り初めて数年は、「アルプス」という言葉に憧れを抱きながらつつも怖くて近郊の低山を中心に登っていた。今ではアルプスはすっかり日常に溶け込み、ついに今年目標としていた槍ヶ岳に登ることができた。

▽槍ヶ岳の頂上から見る景色は360度遮るものが何もなくて素晴らしい眺めだった。見下ろせば、その頂上から三方へ続く稜線が力強くうねりながらどこまでも続いていた。登る前は小さい三角型の頂上が美しい山といったイメージしかなかったけども、実際に登ったことで、美しいだけでなく雄大で生々しい質感をともなった山へと僕の中の槍ヶ岳に対するイメージは変化した。

▽今回、槍ヶ岳には桜台山岳部のメンバー3人で登頂した。メンバー構成としては学生の頃からの友達涼と、華奢だけど 実はかなりの体力を持った女の子KEIちゃん、そして自分だ。共通点は「山が好き!」である。メンバーの性格はばらばらである。例えば今回の山行では槍ヶ岳登頂に加えてせっかくだから頂上からぐるっと回りたい欲張り派と、登頂に専念し、そのままピストンしたい派に意見がわかれた。槍ヶ岳に登るといった目的は一緒でも、楽しみ方、何を重視したいかが人それぞれ違っていた。

▽意見が違うと残念な場合もあるけど、他の人の意見を聞くことで気づくことはたくさんある。今まで関心がなかったことでも不思議と興味がわいてくることがある。山登りで言えば、山道具に愛着を持ち大事にするという姿勢や、山行を記録に残すことの楽しさ、山で凝った料理をする楽しさ、カメラをこだわってとる楽しさなど自分1人で山に登っていた時には気づけなかったことに、仲間と一緒に登ることで気づくことができた。

▽これってある程度人生経験を積み 自分の好みや考え方が固まってしまっている大人にとっては重要なことだと思う。子供の頃は先生や親という正しさの象徴みたいな人がいて、その人の言葉を素直に聞いてたけど、大人になると自分の経験がある分、中々の他の人の意見をすんなりと受け入れにくい。だから信頼できる気の置けない友人と話して、違った角度から物事を見てみるって機会はとても大切だ。今回の山行でも、たまにはゆったりとした計画で余裕をもって山に登るのもありかなと思った。

▽1人で好きなように山を登るのも、仲間とわいわい刺激を受けながら山を登るのもどちらも違ったよさがある。次はどこの山にどうやって登ろうか、考えるだけでワクワクする。


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